top of page

[のじのじ先生ブログ]『コロナ禍に習う英単語』

この2年、新型コロナウイルスが世界中に蔓延し、各国が迷走しながら対策を講じてきたわけですが、このパンデミックについては、日々新情報が目まぐるしく変わることもあって、日本語に訳されているだけの情報では、どう対応していいか、わからなかったことも多くありました。そして、これまでにないほど、ネットなどに更新される新情報が理解できる英語力が必要だと思った人は少なくないでしょう。今回は、このコロナ禍で良くニュースに登場したコロナ、ウイルス、パンデミック、ワクチン についての語源と、「変異株」英語について解説しましょう。


コロナは 英語でcorona となりますが、本来は天文学で使われる用語で太陽や月の周囲に見える光の輪のことです。光環あるいは光冠と書きます。ラテン語が語源で冠(クラウン)を表しました。今度の新型コロナ菌の形がこの冠に似ていたことから、その名前が付いたようです。なるほど、良くニュースを見ていると、このウイルスの写真が出てきます。憎き病原体ですが、形は綺麗な冠に確かに似ています。このことで思い出すのが、病気の「癌」のことをcancer (キャンサー)と言う由来です。このcancerは、大きなカニ、星座の一つである蟹座のことも言います。それは、古代ギリシャで癌細胞をスケッチした医者のヒポクラスが、彼の医学書の中で「癌細胞の姿は蟹が手足を伸ばした姿のようであった」と記述したことから、「癌」をカニと言うようになりました。このように、言葉の背景には面白いエピソードがあります。


次は、ウイルス です。英語スペルは virus です。英語の発音は ヴァイラス ですね。もとともラテン語です。ラテン語で「毒」の意味があるので、virus は伝染性の病毒の意味を表します。また、病気以外に、道徳上の悪影響や害毒の意味でも使われます。人間の病気の話題だけでなく、日常生活でも、最近はコンピューターウイルスとして良く登場する単語です。関連して良く使われる英単語に virulent があります。「(病気での)有毒な、悪性の」の意味の他に、「(言葉や行為での)悪意に満ちた、辛辣な」の意味もあります。


次に、パンデミック です。英語スペルは pandemic です。意味は「(疫病が)全地域に広がる、流行する」です。こんな新型のウイルスが日本に広がるまでは、日本の人には馴染みのない単語でしたが、テレビ・新聞で度々出てきましたので、知られるようになりました。このpandemic を構成しているpan- と -demic に意外な意味があります。

pan- は「全ての、総ての」の意味があります。日本語では「汎」に相当します。-dem は「民衆の、人々の」の意味があります。この二つを合わせて、「全ての人々の間に広がる」の意味となります。


関連単語を見てみましょう。ちょっと難しい単語ですが、panacea と言う単語があります。全てに効く「万能薬」のことで、-acea はギリシャ語で「薬」の意味です。日本語では、哲学用語で「汎神論」という言葉があります。神は万物に内在して、この世の一切が神の現れとする考え方です。日常生活では「汎用」という言葉が良く使われています。一つのものを広く多方面に活用することです。「汎」の漢字は「凡」にサンズイが付いていることから、水に関係しますが、「凡」は大きな板や布を描いたもので、風を受ける帆のことです。海に浮かび、ゆらゆらと遠くまで流れ広がることを表わしています。


今の若い人は知らないでしょうが、私が子供の頃に、パンアメリカンと言う有名な航空会社がありました。残念ながら、1991年に経営破綻し現在はありません。この航空会社の飛行機に乗ってハワイなどに旅行に行くことが憧れでした。この会社の正式社名は Pan American Airways で、「全土を支配しアメリカを代表する航空会社だ!」とう意気込みで付けられた社名でした。当時、パンナムの愛称で日本人にも大変親しまれていました。戦後政治の世界で、アメリカ大陸では、Pan Americanism (汎アメリカ主義)とうスローガンが使われ、アメリカ大陸の諸国が米国の指導の下に外交、経済、軍事で協力関係を築いていました。


今度は、-dem を見てみましょう、これは「人々の」の意味で、これに政治上での「支配」の意味の -cracyが付くと、「民主主義」の democracy になります。正にリンカーン大統領の演説にある「人民の、人民による、人民のための政治」です。他の関連単語に epidemic があります。epi- は「間に」の接頭辞ですから、「人々の間に広がる」ことから、「伝染病の、蔓延している」と言う形容詞で、名詞の意味では「伝染病の発生」を表します。似た単語で、endemic がありますが、en- が「中に」の接頭辞で、人々の中に入り込んだ病気のことで、「風土病」のことです。日本語でも、あるニュースが流れると「それはデマだ」と言ったりしますが、これはドイツ語のデマゴギーを短くした言葉です。「嘘」や「扇動行為」のことです。英語では、demagogy あるいは demagoguery と書きます。 -agogy には「扇動する」の意味がありますから、demagogy は正に「人々をそそのかして扇動する」という意味です。まだまだあります。「人口統計学」は人々の集まりを研究しますので、「書かれたもの」の意味の -graph を付けて、demography と言います。dem、demo は人々のことを指しますので、覚えておきましょう。


では、ワクチン を見てみましょう。英語スペルは vaccine で、発音はヴァクスィン となります。ラテン語で雌牛を vacca(ワッカ)と言います。これが語源です。元々、ワクチンは牛痘を人体に接種して免疫性を持たせ、天然痘を予防する痘苗を指しましたが、今は、それ以外の病気でも、その病気を予防するために免疫を高める抗原をワクチンと言っています。エドワード・ジェンナーが1798年に牛痘を接種することによって、天然痘予防に成功したことが始まりです。「予防接種をする」は、これを動詞化して vaccinate と言います。名詞の「予防接種」は vaccination です。


最後に、「変異株」ですが、英語では mutant strain とか variantと言います。 「変異」とは、変わったものですから、change に関係する単語のようですが、実は mutate と言う「突然変異させる」の動詞が基になっています。mutant strain は「変種の株」「変異した種」のことです。その形容詞が mutant「変異した」です。名詞の「変異」「変形」は mutation となります。新聞記事では、「変異株」を variant と表現している場合もあります。variation の変形ですね。

今回は、新型コロナウイルスにまつわる英単語の話でした。


語源を探ると面白いエピソードに出会いますね。

bottom of page